悪魔城ドラキュラ |
リリース | 1993/07 |
メーカー | コナミ |
プラットフォーム | X68000 |
ジャンル | アクション |
以前ファミコンのディスクシステム版悪魔城ドラキュラを紹介したが、それのリメイク…と言えばリメイクだし、そうでないとも言える作品。何とも説明しづらい。
昨今ではゲームの移植と言えば原典に忠実な再現を目指し、大幅なアレンジを加えるならタイトルも変更するのが普通だ。しかしこの当時はタイトルが同じでも別の機種だと全然別ゲームというのがわりと許されていた。特にコナミはその傾向が強く、沙羅曼蛇やパロディウスはアーケードとMSXで全然違うゲームになっていた(パロディウスは若干タイトルも異なるが…)。
この悪魔城ドラキュラも同様で、ディスクシステム版とX68000版の間にMSX2版/アーケード版/スーファミ版が全く同じ名前で出ているが、いずれも内容が異なる。主人公シモン・ベルモンドがドラキュラと戦うなどという設定は一緒だが、操作性や面構成が異なる。移植という感じではない。その意味ではX68000版も同様なのだが、原点回帰というかディスクシステム版の精神みたいなものを再解釈して作ったという感じだ。だからリメイクという事もできる。
1993年時点ではX68000のパワーももう圧倒的というほどではなく、むしろ10MHz機などは既に「非力」とみなして良い印象があったが、当時のコナミ開発陣の熱意は凄くてX68000のパワーを120%引き出していた。その意味で発売当時から「名作」と言われていた。
今回はそんなX68k版ドラキュラを序盤だけプレイしてみる。
デモ画面。巨大な悪魔城に対して、主人公シモンがなぜか一回ムチを振るう。
冒頭に置いたタイトル画像やこのデモシーンを見ても、ディスクシステム版をリスペクトしつつクオリティを上げているというのが分かる。ロゴやシモンのポーズが初代を意識しているのが良く分かる。
さてゲーム画面。
基本システムは他のドラキュラシリーズとあまり変わらないかな。主人公シモンはジャンプ及びムチによる攻撃が可能で、レバー上と攻撃ボタンを同時押しする事でサブウェポンを発射できる。道中には燭台のような破壊できるオブジェクトがたくさんあり、そこからハートを手に入れる事でサブウェポンの発射回数を増やせる。
上の画面は既にムチがパワーアップして鉄球になっている。
画像は非常に美麗。さすがにディスクシステムとはスペックが違いすぎる。ここなんか背景に絵画が飾ってあるけど、これ描くの大変だったろうなー…と思う。
あと、全く関係ない話だけど。
こういうスクショを撮る時、わりとESCキーでポーズをかけている。そしてこのゲームのポーズ音は、なぜか
「初代ツインビーのクレジット音」だ。私のメチャクチャ好きなゲームだし、一発で分かるけど、かなりマニアックだなと思った。コナミのゲームに多い「テロレロレー♪」みたいな音でも良かったんじゃないかとは思う。私は好きだけどね!
ちょっと進むとステージ2になる。
これもディスクシステム版と同様のシステムで、このゲームは3つのステージが繋がって1つのブロックとなる。全8ブロックなので、合計24ステージとなる。一つ一つのステージはあまり広くなく、またステージの間も扉をくぐるだけで行けるので、あんまり1ステージ=1面という気はしない。全8面のゲームと考えた方がいいだろう。
ステージ2は地下水道みたいな所を通る。道中赤い半魚人みたいなのが水からしつこく飛び出してくる。丁寧に処理しながら進んでいった方がいいと思う。
ステージ3のラストにはボスがいる。まずはコウモリ。
吸血鬼物には良くある話だが、この大コウモリは小コウモリがいくつも集まってできている。攻撃を入れるたびにまた小コウモリに分裂し、別の場所で結集して大コウモリになる。
足場の右端には隠しアイテムがある。これを取るとサブウェポンの連射速度が上がる。なんかエスパードリーム感がある。
それはいいけど、この直後にシモンが死んでしまった。「なにごと!?」とか思ったけど、普通にタイムアップだった。わりと制限時間に余裕はないらしく、道中ウロウロしながら来ると時間切れになってしまう。
まあでも1機死んでからリスタートしたら、今度は余裕で時間は足りた。連射アイテムも取れた。
ボスは死ぬと赤い玉になる。これを集めるのがシモンの目的だ。
ブロックの合間には、悪魔城のマップがスクロールする演出がある。
このへんは魔界村と全く一緒。
ブロック2の最初のステージ。なのでステージ4となる。
ここはなんか緑色のネバネバしたスライムっぽい壁がある。何発か攻撃を入れるとちぎれる。沙羅曼蛇味のある障害物。
地味にこのスライムが拡大縮小を使っているっぽく、縦方向に引き伸ばされた絵になっている。X68000はスプライトの拡大縮小や回転機能は持っていないが、このゲームでは随所に使われている。「うちらの技術ならソフトウェアで可能でっせ!」というメッセージな訳だ。実際、当時のX68000のゲームでもコナミ製品のクオリティはかなり高かった。
ところどころにこのような骨ドラゴンの首が生えている。こいつが火を吐いてきてウザいから、見かけたら必ず怖そう。
こういうのもいわゆる多関節キャラで、一応技術デモ的な部分もあると思う。ただそれ自体は昔からあるし、そもそもありとあらゆる特殊表現をやり尽くした「超魔界村」が1991年に出ている以上、そこまでインパクトはない。
ブロック2の最後であるステージ6には、丸太でできた舟に乗る場面がある。そして水位が上昇するのに合わせて戦うが、時々半魚人が丸太舟を壊してしまう。段々丸太が減って足場が不安定になる。途中で2個目の舟が出てくるから、多分そっちに乗り換えないと終わる。
ブロック2のボスは巨大骨ドラゴン。まあ今見ても「ふーん」って感じかもしれないけど、このゲームは「1987年に発売されたPCでできるゲーム」だからね。そう考えるとかなり大きなキャラを動かしている。
この骨ドラゴン、時々尻尾で舟をつついてくる。そうすると左右に大きく揺れ、足場がきつくなる。その尻尾でツンツンするのがちょっと可愛くてさ。「凶悪そうな見た目なのに尻尾で揺らすとか可愛い攻撃してくるんだww」とちょっと笑ってしまった。
ほいクリア。足場が不安定になるけどそこまできつくもなかった。
次はブロック3。
これ…ボスは魔法使いなんだろうな…。
ステージ7は庭園みたいな所。ドラキュラシリーズだと定番って感じ。
初代にも出てきた、せむし男。鳥か掴んでいて、落としてくる。このせむし男の動きがいやらしいんだよね…。できるだけ早い内に片付けたい。
噴水の場面では、なんか青いスライムのような敵が出てくる。フニフニとこちらを追いかけてくるのだが、なんかいかにもやる気なさそうで、「お前本当に敵か…?」ってなった。
ここが結構難所。あちこちに設置された弓をつがえた像が矢をバンバン撃ってくる。かなり曲射だが、きちんとプレイヤーの位置を狙ってくる。矢の動きが遅いから助かるけど、本数が多いから間を抜けるのがかなり難しい。
でもって余談だけど。
このゲームは比較的少人数のチームで作られたが、各メンバーが勝手に入れた仕様…というか悪戯が結構仕込まれているらしい。そのうちいくつかは製品版にも残っているが、さすがにこれは問題があるだろうみたいなのは削ったようだ。その削られた仕様の中に、この像のちんちんがブラブラするというのもあったらしい。それはさすがに悪ふざけすぎだろ…w
ステージ8はなんかぬかるみみたいな地面が多くなる。落ちても死ぬ訳じゃないが、何もしないと沈んでいく。スーパーマリオ3のブヨブヨみたいな感じ。
この面はスケルトンみたいなのが低い位置から出てくる。そんな時はジャンプ中の下撃ちを使うといい。初代ドラキュラではできなかった事だが、ジャンプ中に真下と斜め下にもムチを出せる。
実はスーファミ版の時点でこの仕様が入っていた。スーファミ版は主人公の操作がかなり自由になっており、ジャンプ中に8方向にムチを出し分けられる。またジャンプ中に軌道を変える事ができる。このX68000版も、ジャンプ中の軌道変更や下撃ちなどは引き継いでいる。ただジャンプ中に上方向にムチを出せない。試しに上押してムチを振ってみたら、サブウェポンが出た。あー、そうか…。スーファミ版は、サブウェポンが独立したボタンになったから可能だったんだ。X68000版はそれ以外の機種同様サブウェポンが上+攻撃ボタンなので、上撃ちができないんだ…。
ていうかさ。X68000もさー。高級ホビーマシンを謳うならATARI仕様の2ボタンジョイスティックじゃなくて、もっと多ボタンのインターフェイスにしとけば良かったのに…。1987年発売のPCじゃそこまで思いつかなかったかもしれないけど、「ジョイスティックでポーズすらかけられない」って時点でやりづらいの自明だったろうに…。
ステージ9は床が氷になっている。大方の予想通り、滑る。かなりツルツルする。床を歩こうとすると必ず一定距離進んでしまうので、それを頭に入れた上で操作する事。
なんか伸び縮みするキモい奴。ちょっと卑猥。
あと時々氷の中に何かが埋まっている。目立つのは女性だけど、埋まってる奴の大半はせむし男で、そのブロックを破壊すると敵として飛び出てくる。またそれが破壊しないと先に進めないようなブロックにばかり埋まっていてめんどくさい。
ブロック3のボスは案の定魔法使い。フワフワ浮きながら魔法で攻撃してくる。ドラゴンバスターの魔法使いそっくりの、空中に剣を出現させる魔法を使ってくる。ちょっと懐かしかった。
また、巨大な魔物を召喚する事もある。空中に大きな逆五芒星を描くと、そこからグレーターデーモン的な何かが出てくる。こいつが回転しながら緑の炎を吐く。
不思議な事に、この炎に関しては画面左端にいた方がやられないような気がした。右端にいると回転した際炎が届いてダメージを受けるが、左端だと炎が届く前に召喚効果が切れる。まあたまたま私がプレイした時はそうだっただけかもしれないが。
魔法使いは攻撃こそ派手だが、防御の方は大した事がない。浮いてる時にペチペチとムチを当てれば死ぬ。攻撃パターンを知っていればそこまで難しくないかなー。
よし、ブロック3までクリアしたから終わりにしようか。
ちなみにブロック4では、ドラキュラIIで使われた「Bloody Tears」のアレンジBGMが流れる。元から名曲なので、他のドラキュラシリーズでも良くアレンジされている。個人的に一番好きなのはアーケード版のアレンジかなー。
さて。
まあ、良くできてるなと思う。この時点でドラキュラIIや悪魔城伝説も含めた複数の作品が出ているけど、「初代の良さをもう一度見直そう」という感じで作られていて好感が持てる。音楽も出来がいい。内蔵音源版が好きだが、MIDIバージョンもあってかなり豪華だ。
あとは、68のゲームとしては珍しく「動作クロックで挙動が変わる」みたいな仕組みが入っている。X68000も、10MHzの初代から25MHzのX68030までいくつかのモデルがあった。それをプログラムで判別し、回転などの重い処理についてはCPUパワーにより挙動を変えている。
ただまあ途中にも書いたけど、グラフィックや演出の良さは「X68000にしては」という注釈がどうしても入ってしまう。1987年の発売当時は圧倒的な性能と言えたX68000だが、それから6年経った1993年では見劣りしていた。スーファミが出たのが1990年だし、アーケードゲームの基板も進化し既に3Dの時代に差し掛かっていた。表示周りのスペックが一切変わらなかったX68000は、やはり1987年なりの性能のままだった。
発売の頃は「誰もが憧れる高級ホビーマシン」という位置付けだったX68000がそういう扱いになってしまうのも、一抹の寂しさがある。それと同時に、PCやゲーム機の進化の速さって凄いんだな…というワクワク感もあった。
(終わり)
- 2023/08/29(火) 10:00:00|
- オールドゲーム攻略
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| コメント:8
当然ですが、これはやりました。記事にもありますが、この時期コナミはX68000のすべてを使いつくすという感じで最高峰だったと思います。ほとんどがMIDIに対応していましたし。それと同時にX68000の限界も近づいていたようで一抹の寂しさもありました。
ちなみに、ジョイスティックですが、X68000は基本ATARI仕様及び、アナログスティック対応でしたが、末期には餓狼伝説及びスト2でオリジナルで6ボタン、4ボタンに対応させていました。当時、回路を解析し、と言ってもコントロール端子でボタンの認識を変える単純な回路でしたが、基盤を作り上げ、トグルスイッチで4ボタン、6ボタンを切り替えるオリジナルスティックを作ったりしました。
当時は個人的に技術力が最高峰でした。今はそんなことできません。地方で部品を集めるのは大変でしたがいい時期でした。
- 2023/08/29(火) 23:36:09 |
- URL |
- omerev #-
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>omerevさん
>ちなみに、ジョイスティックですが、X68000は基本ATARI仕様及び、アナログスティック対応でしたが、末期には餓狼伝説及びスト2でオリジナルで6ボタン、4ボタンに対応させていました。
確かチェルノブが発売した時に、メガドライブのパッドを挿せるアダプタが同梱されましたよね。コネクタの形一緒なんだからそのまま認識してくれればいいのに…と思いました。
>当時は個人的に技術力が最高峰でした。
これは私も同様ですね。純正マウスをバラして色々ハンダ付けして他社マウス繋げられるようにしたり…。ソフトも色々書いてましたねー。今はダメですね。「なかったら買えばええやん」って思うようになりましたw
- 2023/08/30(水) 21:00:42 |
- URL |
- TOM(管理人) #Ohl5bwZ2
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>確かチェルノブが発売した時に、メガドライブのパッドを挿せるアダプタが同梱されましたよね。
当時電波のそのシリーズだけは新品を購入し、チェルノブも勝ったし、MDも持っていたので使ったはずなんですけれど、忘れてました。
確かMDもATARIに近かったか、微妙に形が違ったんでしたっけ?
忘れたなあ。
いずれにしろ、ソフト側に対応する必要があったので全部に使うのは無理だったかもしれません。
X68000のスティック、X1のゼビウス用をしばらく使ったりもしました。さすがにへたりましたけどね。
- 2023/08/31(木) 21:45:43 |
- URL |
- omerev #-
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>omerevさん
>確かMDもATARIに近かったか、微妙に形が違ったんでしたっけ?
コネクタの形やピンの数は一緒なんですが、ピンアサインが異なっていて、挿しても動きません。電流を流すピン自体が異なるようです。せめてそこだけでも統一しといてくれればソフトウェア的にどうにかできたかもしれないのに…。
>X68000のスティック、X1のゼビウス用をしばらく使ったりもしました。
おお、懐かしいですね。通称ゼビスティック。確かスティックが右側でボタンが左側なんですよね。今考えると珍妙な配置ですが、当時は「パソコンゲームはカーソルキーが右だから…」という意味合いでこうしてたんでしょうね。
- 2023/09/01(金) 03:44:42 |
- URL |
- TOM(管理人) #Ohl5bwZ2
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>確かスティックが右側でボタンが左側なんですよね。
確かにそうだった気もしますが、当時はそれでも大丈夫だった気がします。確かにPCゲームは右手でカーソルキーやテンキーを動かすのが標準でしたし、私も違和感がなかったです。
そしてうろ覚えなんですけど、上下左右入れ替えができた気もします。
ゲーセンになれると逆転させた気がします。
今思えばいちゲームの付属品でそこまでできるのすごい気がします。
- 2023/09/01(金) 23:00:10 |
- URL |
- omerev #-
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>omerevさん
>そしてうろ覚えなんですけど、上下左右入れ替えができた気もします。
ググってみたら、底面のスイッチを切り替える事により反転させる事ができたようですね。それにより左にスティックのある配置もできた、と。これは知りませんでした。
そして現物持ってる人が意外といてビビりました。X1用ジョイスティック今でも持ってるのか、と…w
- 2023/09/03(日) 01:19:46 |
- URL |
- TOM(管理人) #Ohl5bwZ2
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>omerevさん
>捜索しないといけませんけど、私も多分捨ててはないと思います。多分動かないか、動くかどうか試すのが大変です。
まだ持っているのですね…w
ジョイスティック自体は多少いじれば動く気がしますが、それを繋げる本体の方が今では難しいですよね。
私もX68000本体を所持していますが、さすがに電源はへたってきていると思います。
- 2023/09/05(火) 07:05:55 |
- URL |
- TOM(管理人) #Ohl5bwZ2
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