ソーサリアン |
リリース | 1987/12 |
メーカー | 日本ファルコム |
プラットフォーム | PC-88 |
ジャンル | ARPG |
ドラゴンスレイヤー、ザナドゥ、ロマンシア、ドラスレ4に続く、ドラスレシリーズ第5弾。この攻略連載の中でも、シリーズ5本も取り扱うのは初めてだね(4本の時点で唯一な気もするけど)。
で、その4作がわりとゲームシステム的に毎回違うわけだけど、今回のソーサリアンもだいぶ違う。サイドビューのARPGってところが、ザナドゥ以降のシリーズと共通ってくらいで(ザナドゥは戦闘や塔はトップビューだけど)、後はほとんど異なっている。そして過去シリーズ同様、世界観的にもほとんど繋がりがない。
ソーサリアンの特徴は、「やたらとたくさんある魔法」と、「シナリオとシステムの分離」だろう。
魔法だが、全部で120種もある。そしてそれらは、他のRPGのように、レベルアップをして覚える、という仕組みにはなっていない。このゲームの魔法は、装備に「星」を掛ける事でついていく。後で細かく書くけど、とにかく、色々複雑な操作をして、装備に対して魔法を付与するのが、このゲームの仕組みである。
もう一つ、シナリオとシステムの分離について。このゲームでは、システムディスクと、シナリオディスクが分離している。従って、最初のパッケージに15本のシナリオがついてくるが、後からシナリオを追加できる。追加されたシナリオも、ディスクを入れ替えて読み込むので、最初についてくるシナリオと基本同等の遊び方ができる。当然、ユーザーディスクもまた分離しているので、キャラはどのシナリオでも共有する事ができる。
このようなシナリオ分離システムは、ソーサリアンが初ではないが(例えばホット・ビィのカレイドスコープシリーズもこうなっている)、ドラスレシリーズという、シリーズ物の1作品の中でこのような仕組みを導入するのは、大胆な試みだった。
私は実は、当時パソコン版には触れていなく、のちに出たメガドライブ版をプレイした。あれはあれで、結構シナリオが異なっているので、今回初めてPC版をプレイしてみる。
また、上記の通り、シナリオがたくさんあるので、一番簡単なシナリオをさらっと1本クリアする程度で終わりにしたい。
まず起動すると、そっけない文字だけのメニュー画面が出る。いったん町に行くと、このメニューに戻る事を「城に戻る」と表記するので、ここは城らしい(全然分からないけど)。
で、とりあえず、シナリオは4人パーティまで組めるので、適当にキャラを4人作ってみる。
名前は、DAN・DAIROKU・JURI・HYOUである。これは、島本和彦のデビュー作である「風の戦士ダン」という漫画から取っている。私はこの漫画が大好きで、連載当時から読んでいたんだけど、今その島本和彦が書いている「アオイホノオ」という自伝的作品が、いよいよその「風の戦士ダン」の連載のところに来ていて、それも楽しく読ませていただいている。もうすぐ40年経つのに…。
キャラメイクは、ファイター・ドワーフ・ウィザード・エルフの4つの職業(てか種族と混ざってるよね…)と、性別を選び、3~5くらいの幅でもらえるボーナスポイントをパラメータに振り分ける事で完成する。とりあえず、その4つの職業を全部満たすように作ってみた。
なお、このゲームは、何十年というスパンで全体が進んでいく、シミュレータ的なところがある。そこで、主人公たちが、いわゆる冒険をしていない時の、「普段の職業」を選ぶ事ができる。最初はみんな農夫だが、見ての通り、大工とか漁師とか家政婦とか墓守とか、とにかく良く分からんくらい職業がたくさんある。これによって、時間が経過した時の収入が変わる他、パラメータも上下する。しちめんどくさいシステムだ。
で、キャラを作っただけじゃ冒険に出かけられない…というか、パーティを編成できない。装備をきちんと一揃え全員が持っていないと、編成が不可能なのだ。
なので、街に行って、買い物をする。武器/鎧/盾と、杖/ローブ/指輪の組み合わせになり、前者はファイターとドワーフが、後者はウィザードとエルフが身に着けられる、とかになっている(確か)。
で、魔法使いの家に行くと、星を装備に掛ける事ができる。もちろん有料だが。
ここのシステムをもうちょっと詳しく書いておく。
星は、火星/水星/木星/月/太陽/金星/土星と7種類ある。で、この魔法使いに頼む事で、装備に対してそれらの星を付与する事ができる。星の付与は、一つの装備に対して複数可能である。
で、星が2個以上かかっている時、その組み合わせにより、魔法が使えるようになる。例えば、火星と水星がかかっている場合、「STORM」という、嵐の魔法が使える。
じゃあまあ、同じように火星と木星、火星と月…みたいに順列で掛けていけば、全ての魔法が作れるよね、って思うかも知れないけど、ちょっとめんどくさい要素がある。星同士で干渉するのだ。
例えば、すでに火星がかかっているところに、木星をかけると、普通に考えると火星・木星が付与されると思うだろうが、そうはならない。この組み合わせだと、最終的には木星・木星になる。火星が1個消えて、その代り木星が1個余分に追加される。干渉とは、こういう特殊な変更がなされるパターンの事だ。全ての組み合わせで干渉するわけではなく、例えば火星→水星の順番にかける分には干渉せず、普通に火星・水星が装備に付与される。
このように、星の付与はちょっとしたパズルになっている。目標としたい魔法が、どんな星の組み合わせであればいいかが分かっても、どの順番でかければその組み合わせになるのか考えるのは一苦労だ。上記の干渉の例では、すでにかかっている星が1個しかないパターンで説明したが、すでに5個付与されていたら、5回分干渉が起きる。かなりややこしいよ。
更にめんどくさい事に、星をかけて魔法が付与されるためには、年単位で時間がかかる。単に1個星をかけるだけで、3年かかる。2個目、3個目となると更にかかる。
そしてキャラには寿命があるので、あまりに多くの星をかけると、その装備の出来上がりを待つだけで、老衰で死んでしまう。仕方ないので、2代目、3代目とキャラを作り、装備を引き継いでいくしかない。
この、魔法作成にやたら時間がかかるシステムと、キャラの老衰システムは、どうにかならなかったのだろうか…。
ま、そういう風に、時間がかかると言うのもあるけど、そもそも最初は手持ちの資金が全然ないので、今回は魔法を新たに作る事はなく、プレイを開始する。
更に今回、ソーサリアンユーティリティを使ってみる。
これは、別売りで販売された、周辺ソフトで、手に入れると若干機能拡張ができる。例えば、上記に書いたクソめんどくさい魔法付与システムを、わりと直接的に付与できるようになる。これは神機能や。
他にも、セーブデータのコピーとか、サウンドモードとかもある。
私が使いたかったのはこれ。名前変更。
ソーサリアン本体でキャラを作る時は、名前はアルファベットしか許されていない。ところが、ユーティリティを使うと、ひらがなやカタカナも使用可能になる。そんなの本体機能で持っとけや、って気がしなくもないが。
その他、装備の名前も変えられる。これは重要で、ここまで書いた通り、このゲームでは装備に対して魔法が付与できる。従って、どの装備にどんな魔法が付与されているか把握しやすいように、自分で名前を編集しておくと、楽になるというわけだ。
その他、ソーサリアンクイズとか、スタッフからのメッセージおよびプレイヤーからのお便りを読む事もできる。
いやー、このユーティリティで3800円も取ってたので、それなりにボリューム作ろうと苦労しているのが分かる。さすがに名前変更とか、セーブデータの編集とか、本来本体にあってもいい機能を分離して追加コンテンツにするのは気が引けたのだろうか。
さて、では一番最初のシナリオである、「消えた王様の杖」をプレイしてみる。
今初めて気づいたけど、これ「おうさま」じゃなくて「おおさま」なんだね。標準仮名遣いと異なる。でも説明文の方はちゃんと「おうさま」って書いてあるわ。
なんでも、このソーサリアンの舞台であるペンタウァでは、言うてそんな世界が滅びるとか大仰な事は起きず、冒険者はもっと細かい事を解決してお金を稼いでいる、という世界観を示したかったらしく、王様の杖がオークに盗まれたとかいう、ほのぼのとした雰囲気のシナリオを最初に持ってきているらしい。
なお、細かい話だが、このゲームでは、全て「決定はEnter、キャンセルはSpace」という操作体系になっている。ちょっと、直感と合わない。普通のゲームでは、キャンセルはEscキーだが、このゲームでのEscは、あらゆる場所で効くポーズキーとなっている。常にBGMの流れているこのゲームでは、どこでもポーズがあるのは大変ありがたい。ただ、Spaceキーがキャンセルと言うのは、結局最後まで慣れなかった。
ゲームを開始すると、このようにサイドビューの画面になる。
パッと見は、ザナドゥやロマンシアと同じく、サイドビューでぴょんぴょんジャンプしていく感じだが、キャラの頭身は上がっている。
で、Xキー(またはSpaceキー)で剣を振り、Zキーで魔法を撃つ、となっている。
魔法は、通常攻撃魔法であれば、Zキーを押す事により、パーティの中の魔法を使えるメンバーはそれを撃つ。上に書いた通り、今回能動的に魔法は付与していないのだが、店売りの杖にすでにFLAMEの魔法がかかっているらしい(これ、PC-88版の最初期のバージョンには、それすら無かったらしい)。
CapsLockをONにすると、HP/MPのウィンドウが出る。
これ…難しいところだな。わりと、このウィンドウはずっと出てて欲しい。でも邪魔なんよ。一応ゲーム側も気を使って、今進行方向じゃないところにウィンドウを移動したりと、なんか工夫してるんだけど、面積がでかいせいかやっぱ邪魔になっちゃう。
なので、私は大体の場面でこのウィンドウを消しており、今HPがいくつあるんだか良く分からない状態で進めていた。
さて、この「消えた王様の杖」のシナリオの大きなギミックは、この主人公のちょっと右上にある、「青い玉」だ。これがキーアイテムになっていて、これを穴にはめたり、外したりする事で、地形に変化がある。例えばこの最初の青い玉は、ここからはずすと、左の橋のような物が消えて、下に行けるようになる。右上に扉があるが、これはこちら側からは開かないので、この橋を消さないとどこにも進めない。
同様に、この青い玉をはめられる場所がダンジョン内にいくつかあるので、それをうまく利用して攻略する。
マップでは、もちろん戦闘もある。
ここはわーって敵が降ってくるから、わーって剣振って魔法を撃つ。
正直、ソーサリアンの戦闘はだいぶ大味で、おおむねこんな感じだ。
こんな風にマップをぐるっと回って、わりと進んだところに、このグーランというNPCがいる。このシナリオの最重要人物だ。
この人は、同じく王様から杖を取り戻すように言われた兵士だけど、傷を負ってしまい、ここで回復しているそうだ。
で、この人が全般的にヒントを教えてくれる。わりとこのヒント能力は高くて、こちらのフラグ進行を把握しており、その時々で必要な事を言ってくれる。
やはり最初のシナリオだけあって、簡単にしたかったのだろう。
まずは、酸のしずくの滴る部屋に行って、その先の酸の海でスイッチを押して来い、というようなヒントをくれる。
いきなり物騒だな…。
行ってすぐ分かるかしら…と思ったけど、ちょっと進んだらすぐわかった。メッチャしずくが滴ってた。ここだよ…。
そしてこれは酸であるから、食らうとダメージを受ける。
そこにある扉から先に進むと、酸の海がある。見ての通り液体だが、これも酸なので、入っている間ダメージを受ける。と言っても、まあ死ぬってほどでもない。普通に考えると、酸の海に浸かったらナウシカみたいに煙吹いて倒れそうだけど。
で、スイッチがあるので、ジャンプして突っついて戻ってくる。
基本的にこのゲームで、ギミックを動作させるのは、ジャンプして頭でガンってぶつけるというアクションになる。
戻ってくると、先ほど石垣みたいになっていた右の部分が、ため池になっている。酸の。
グーランのところに戻ると、「もう一つスイッチがあるから良く探せ」とか言われる。
その口ぶりから、どうもここから酸の海に行くまでのところにあり、探せば見つかるのだが、私が見逃したっぽい。そう思って、酸の海までのルートを何度も往復したが、どうにも見つからない。
正解としては、特に酸の海までのルートとは関係のない、全然違う場所にスイッチがあった。
そのスイッチがこれ。
で、一つ注意。ここのスイッチは、最初に頭をぶつけると、トラップが発動する(私は「疲労のトラップ」とか言うのにかかった。回避する事もある)。で、実はトラップ発動時点では、まだスイッチが押されていない。もう一度ジャンプして頭ガンってすると、スイッチが押される。
その事に気づかず、トラップだけ食らってまたグーランのところに行ったら、ヒントが変わらなかったので、それに気づいた。
しゃーないので戻ったんだけど…。これが大変でさあ。
まず、この「消えた王様の杖」は、そんなに広いマップじゃないんだけど、重力とかスイッチの関係で、一方通行になっているところが時々あり、結構思ったところに行くのに遠回りをするケースがある。でもって、聖闘士星矢の時にもボヤいたけど、この当時良くあった「基本マップは横スクロールなんだけど、時々扉があって他エリアに連結する」仕組みのゲームで、全然マップを覚えられない。
そういうわけで、移動が苦痛で苦痛で…。「まーたグーランのところに戻るのかよ」ってうんざりする。同じところを何度も行ったり来たりさせられるんだよね。
そういう声があったせいか、PC-98にはダッシュボタンがつき、またどこかの機種からは、自動でダッシュ状態になるように変更されたそうだ。
で、スイッチを2つ入れてグーランのところに行くと、「しずくの部屋に像が現れたから、そこに菱形の宝石をはめろ」と言われた。
しかしグーランは、なんでそんな最後の謎まで知ってるんだろね…。
で、やっぱりわりと離れたところに、その菱形の宝石があるので、まずそれを取りに行く。
それを、しずく部屋の像にはめると、どこかで何かの岩が崩れる。
グーランに報告すると、酸の海の奥に行け、と言われる。
酸の海のあったエリアのちょっと奥まったところに、元々なんか通れそうで通れなかったところがあるが、そこが通れるようになっている。
その先にはオークがいるから気をつけろ、とか言われていたが、全然敵がいなかったので、「なんだ余裕じゃん」とか思ってたら、右端の宝箱のあたりでわさーっと上から降ってきた。
まあ…なんかわーって剣振ってわーって魔法撃ってればそのうち消える。
そこの宝箱を調べると、ついにその消えた王様の杖が見つかった。
更にその宝箱を2回くらい調べると、LONG SWORDも見つかる。
なんで1回隠したんだよ…。
で、入り口のところに青い玉を戻して、また橋をかけて戻る(そうしないとジャンプの飛距離的に戻れない)。
これでこのシナリオはクリア。
いやー。なんか、私が見ている攻略サイトは、どうもPC-98版に準拠しているらしいんだけど、PC-88版と全然謎解きが違うんだよね。マップとか敵配置とかはほぼ一緒なんだけど、進行がだいぶ違う。どうやら青い玉も複数あるらしいし(PC-88版は1個しかない)。
なんでそこまで変更したんだろう。
ペンタウァに戻ると、経験値をもらえる。また、冒険に出るのに1年かかっているらしく、これで1つ分歳を取る。
ま、シナリオを1個クリアしたので、ここで攻略を終了する。
んー。
まず、ザナドゥやドラスレ4は、世間的な評判は高い。ロマンシアは、あんまり高くない。で、このソーサリアンは、どちらかと言えば高いのだが、実は私の評価は高くない。つまり、シリーズの中では、世間的評価と私の個人的評価が乖離している部類になる。
まず、魔法システムがあんまり面白くない。星を色々組み合わせて魔法を作る、って言うとなんかワクワクする感じはするけど、実際には全然ワクワクしない。どうせ攻略本や攻略サイトを見て、所定の組み合わせを作るだけだし。年数が非常にかかる事もあって、試行錯誤するような遊び方できないしね。
でもってできた魔法も、なんかどれもこれも変わり映えしないというか、なんか弾みたいなのがひゅーって飛んでいくだけなので、あんま作った面白さってないし。
そもそも、ゲームシステムが、戦闘メインと言うより、ロマンシアのようにピョンピョン飛びながら謎解きするのがメインなので、別に魔法たくさんあってもそんなに…と言う感じがする。
また、ゲーム本体についても、私はあんまり評価していない。
謎解きっつーと聞こえはいいけど、基本的にこのゲームの謎の難しさは、「マップの繋がりが複雑だからそれを覚えるのが大変」ってところにあるし、ゲーム的な難易度と言えば「何度も同じところを往復させられるので、大変時間がかかる」という形で実現されているように思う。
いや、ほんと、「基本マップは横スクロールなんだけど、時々扉があって他エリアに連結する」仕組みのゲームって、マップが全然直感的じゃなくて、覚えるのが異常に大変なんだよね。それがイコール、ソーサリアンの難しさになっている。
その他、キャラを歳をとって死んでいくシステムも煩わしいし(だから昔プレイした時は、裏技を使ってみんな不老不死にしていた)、例の農夫とか墓守とかの職業システムとか、後は説明しなかったけどハーブを調合して薬を作るシステムとか、とにかく細かく細かく「めんどくさい」システムが挟まる。
だから、なんか、要はゲームの企画書レベルでは面白そうな感じがするんだよね。「装備に星を色々掛け合わせて、魔法を作り出すシステム」とか、「基本システムと無数のシナリオがあり、好きなシナリオを解いていく仕組み」とか…。言葉だけ聞くと、面白そうに聞こえる。
しかし実際プレイすると、「あれこれコチャコチャとめんどくさい…」という感情しか生まれてこないんだよね。魔法システムも、実際のゲームプレイにおける謎解きとかも…。
これは30年前の時点で思ったし、改めて今回プレイしてもそう思った。
うーん、だいぶ辛辣な評価になってしまった。
ただ一つ、ポジティブな話を書いておく。音楽はどれもこれも素晴らしい。最初のタイトル画面、メニュー画面からすでに名曲揃いだ。特に今回私がプレイしたPC-88版には、それでしか流れない「消えた王様の杖を取った時の曲」が流れる。どうやら他機種では、「イベントクリアの曲」と統一されているらしい。この「消えた王様の杖を取った時の曲」がまたいい曲なんだよね…。
ま、そういうわけで。きつい事色々書いたから、好きな人は眉をしかめるかも知れないけど、ま、個人の感想なので。
(終わり)
- 2019/05/14(火) 23:00:00|
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